栄養のこと
2018年06月13日
【糖質】ヒトの主なエネルギー源となる栄養素|栄養成分辞典
さくら便り
糖質とは
糖質は、脳の神経細胞や筋肉を働かせるためのエネルギー源として最も重要な栄養素です。
不足すると、エネルギー不足で体力が低下し、疲れやすくなります。
しかし、取りすぎると体内で中性脂肪として蓄積され、肥満や生活習慣病のリスクが高まります。
日本人の食事摂取基準では、1日に必要なエネルギー(カロリー)の50~65%を糖質で摂ることを推奨しています。
糖質の分類
糖質は分子量の大きさから「単糖類」「少糖類」「多糖類」に分類されます。
単糖類
最も小さい単位の糖質です。主に下記のように分類されます。
グルコース(ブドウ糖)
人が最も多く摂取する単糖類で、主に穀物などに多く含まれています。
様々な糖質を構成する要素としても重要です。
食べものから摂取された糖質は、消化・吸収後グルコースに分解され、体を動かすエネルギー源になります。
糖類の中で最も吸収されやすいので、激しい運動後や長時間の試験勉強後に補給すると、「即効性のあるエネルギー源」としてはたらきます。
フルクトース(果糖)
果物やはちみつに多く含まれ、天然に存在する糖類の中でも最も甘味が強い糖だと言われています。
また、低温時はより甘みが増すので、清涼飲料水やアイスなど幅広い食品に使用されています。
摂取された後は、肝臓でグルコースに変換される過程を経るので、グルコースと比べて食後の血糖血の上昇は緩やかです。
ガラクトース
母乳や牛乳に含まれるラクトース(乳糖)の構成成分で、体内においても糖脂質・糖たんぱく質として存在しています。
フルクトースと同様、肝臓でグルコースに変換される過程を経るので、グルコースと比べて食後の血糖血の上昇は緩やかです。
少糖類
単糖が2~10個結合したものを少糖類と言います。主に下記のように分類されます。
スクロース(ショ糖)
「グルコース+フルクトース」という構造で、日常的に使われる「砂糖」の主成分です。サトウキビなどに含まれ、水に溶けやすい性質を持ちます。
ラクトース(乳糖)
「グルコース+ガラクトース」という構造。甘さは控えめで、スクロース(ショ糖)の約1/5程です。母乳や乳汁に含まれており、乳幼児の重要なエネルギー源となります。
マルトース(麦芽糖)
「グルコース+グルコース」という構造。麦芽や甘酒に含まれており、スクロース(ショ糖)と比べて、血糖値の上昇が緩やかという特徴があります。
オリゴ糖
3個以上の単糖が結びついたもので、ビフィズス菌などの善玉菌を増やし、腸内環境を整える効果があります。
オリゴ糖には、含まれる食材によって下記のような種類があります。
・大豆オリゴ糖(大豆)
・フラクトオリゴ糖(バナナ、はちみつなど)
・ガラクトオリゴ糖(母乳、牛乳など)
・キシロオリゴ糖(たけのこ、きのこなど)
など
多糖類
単糖が10個以上結合したものを、多糖類といいます。
でんぷん
穀類や芋類の主成分。何百~何千というグルコースが結合して構成された高分子体で、植物における”糖質の貯蔵庫”です。
グルコース間の結合の形によってアミロースとアミロペクチンに大別されます。
(例:うるち米の場合、この両者の比は20:80、もち米では0:100です。)
このようにでんぷんの結合状態や構造の変化によって、その形状や食感は大きく異なります。
グリコーゲン
でんぷんと同様、グルコースが結合して構成された高分子体で、動物における”糖質の貯蔵庫”です。
グルコースが血液中に増えると、グリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄積され、必要時にアミラーゼという消化酵素によって分解されます。
糖質の代謝
食事から摂取された糖質は消化吸収の過程でグルコースに分解されます。
グルコースは、血液と一緒に体の様々な細胞に運ばれます。
細胞に取り込まれたグルコースは、下記のような経路を辿りエネルギーを産生します。
まず、糖質は解糖系にてピルビン酸に変換されます。
ここから、好気性(酸素がある)か嫌気性(酸素がない)かで、代謝の流れが大きく変わります。
好気性の環境では、そのままTCA回路、電子伝達系を経てエネルギー(ATP)を産生します。
酸素がない状況下では、ピルビン酸は乳酸になります。
激しい運動をした際に乳酸がたまりやすいのはこのためです。
筋肉にたまった乳酸は、肝臓に運ばれ糖新生という過程を経て再びグルコースとなります。
ビタミンB1は糖質代謝のサポーター
糖質を代謝するためには様々な酵素が関わっています。(※図では省略)
その中でも、「ピルビン酸→アセチルCoA」に変換するための酵素や、TCA回路を潤滑にまわすため酵素の材料としてビタミンB1はとても重要な役割を担っています。
脳のエネルギー源はグルコースだけ
脳の重さは1.2~1.4㎏ほどで、体重に占める割合としてはそれほど重たくありません。
しかし、脳の酸素消費量とグルコース消費量はそれぞれ全摂取量の約25%と言われており、とても多くのエネルギーを必要としています。
脳は体に指示を送る最も重要な臓器、まさに司令塔です。
様々な情報伝達物質が飛び交う精密な部分だからこそ、「血液脳関門」という関所を設け、限られた物質しか通過できない作りになっています。
この血液脳関門には「GULT-1」という、血液中のグルコースを脳内に取り込む輸送体が存在しています。
この輸送体のおかげで、グルコースは脳に行き届きエネルギー源となることができるのです。
レジスタントスターチ
「レジスタント」=「消化されない」、「スターチ」=「でんぷん」という意味で、難消化性でんぷんとも呼ばれます。
また、「健常人の小腸管腔内において消化吸収されることのないでんぷん」と定義されています。
つまり、「化学構造上はでんぷんに分類されるけれども、食物繊維のようなはたらきを持っている」ちょっと特殊なでんぷんです。
満腹感を持続させ、お腹がすきにくくなったり、ビフィズス菌の栄養になって腸内環境を整える働きがあります。
レジスタントスターチの分類
大きく4つに分類されます。
▢物理的に利用しにくいでんぷん(RS1)
例)厚い細胞壁をもつ豆類など
▢天然のでんぷん(RS2)
例)生のポテトや完熟前のバナナなど
▢老化でんぷん(RS3)
例)一度あたためて冷やしたご飯など
▢化学修飾でんぷん(RS4)
例)でんぷんエーテルなど(化学的な加工を行っている)
「加熱後冷やすことで量が増える(RS3)」という、これまた特殊な性質をもっているので、ご飯を冷ましたり、温かいうどんよりも冷たいうどんを選ぶと多く摂取することができます。
GI値(グリセミック・インデックス)とは
糖類の中で最も吸収スピードが速いグルコース(ブドウ糖)を摂取したときの血糖値の上昇を基準(100)として、その食品を食べたときの血糖値の上昇度合いを数値化したものです。
つまり、GI値が高い食品ほど血糖が上昇しやすく、インスリンを急激に分泌することになるので、糖尿病の人にとっては大きな負担となります。
例えば、エネルギー量(カロリー)は同じ白米と玄米でも、白米のGI値は70、玄米は50と血糖値の上がり方は異なります。
体に優しい糖質の取り方
急激な血糖値の上昇は、体にとって大きな負担となります。
健康診断等で、少し血糖値が高めだと言われている方は、上でお話した『GI値に気を付けて食品を選ぶ』ことと併せて、『食べる順番』を意識することをおすすめします。
食べる順番を変える
1. 野菜・きのこ・海藻類
2. 肉・魚
3. ごはん・パン
まず始めに、食物繊維が豊富な食材から食べましょう。
食物繊維には、糖質や脂質の消化・吸収を遅らせたり、満腹感を得やすくして食べすぎを防ぐ効果があります。
また、米飯の前に魚や肉料理を摂取したほうが、血糖値の上昇が抑えられたという研究結果も報告されています。
日本伝統の会席料理は「前菜→メイン→ご飯」と、まさに理にかなっている食事と言えます。
ぜひ今日の食事から『食べる順番』を意識してみてください。
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