栄養のこと

2018年07月06日

【葉酸】貧血予防や胎児の発育に重要な栄養素|栄養成分辞典

添田(企画)

添田(企画)

葉酸とは

 

葉酸は、ビタミンB群の一種で、水溶性のビタミンです。

ほうれん草の葉から発見されたため、「葉酸」と名付けられたと言われています。

 

葉酸は、ビタミンB12とともに、赤血球に含まれるヘモグロビンの合成に欠かせないビタミンです。

そのため、葉酸が不足すると正常な赤血球がつくられず、巨赤芽球性貧血を招きます。

また、たんぱく質やDNAの合成にも関わっており、細胞の新陳代謝や発育を促します。

不足すると成長や代謝に異常が現れ、発育不全を起こすため、胎児や乳幼児の成長にとっても重要な栄養素です。

葉酸不足による発育障害を防ぐためにも、妊娠中や授乳中は積極的に摂取するよう奨められています。

その他、葉酸にはアミノ酸の一つであるホモシステインがメチオニンに変換されるのを助ける働きがあり、動脈硬化や認知症の予防にも効果が期待されています。

 

主なはたらき

・たんぱく質や核酸の合成に関与

・脳神経機能を正常に機能させる

・ヘモグロビンの合成を助け、巨赤芽球性貧血を予防する

・胎児や乳児の発育をたすける

・動脈硬化や認知症を予防する

 

1日に摂る量

≪1日に必要とされる量 ※30~49歳成人の場合≫

・推定平均必要量:男性200mg、女性200mg

・推奨量:男性240mg、女性240mg

・目安量:なし

・耐容上限量:なし

 

※用語の解説はこちら

 

(単位:㎍)

 

妊娠中・授乳中は倍量を

葉酸は胎児や乳幼児の成長に欠かせない栄養素であるため、妊娠中・授乳中においては、付加量が設定されており、通常時の倍量の摂取を奨められています。

また、妊娠を計画している場合や妊娠の可能性がある場合は、1日に400㎍の摂取が望ましいとされています。

 

不足すると…

 

 巨赤芽球性貧血

ビタミンB12と葉酸のどちらかが不足すると、DNAの合成が上手くできず、赤血球に含まれるヘモグロビンの合成も障害されます。

すると、赤血球になる前の赤芽球が異常に大きくなり(=巨赤芽球)、正常な赤血球が作られなくなります。

このために起こる貧血が巨赤芽球性貧血です。

葉酸不足による貧血は、大人よりも子供に多くみられますが、これは成長のために必要なたんぱく質の合成に、葉酸が欠かせないからです。

妊娠中の貧血も胎児に影響を及ぼすため、不足しないよう注意しましょう。

 

胎児の発育不全・流産のリスク

また、妊娠初期は胎児の細胞増殖が盛んであるため、この時期に葉酸が不足すると、発育不全や流産のリスクが高まります。

特に葉酸は神経機能に関わるビタミンなので、葉酸欠乏により、生まれてくる赤ちゃんに神経閉鎖障害が発症しやすくなります。

 

口内炎・潰瘍

葉酸はたんぱく質の合成にも関わっているため、不足すると粘膜の新陳代謝が上手くできなくなり、口内炎や潰瘍など、粘膜の異常が起こりやすくなります。

 

動脈硬化・認知症

また、葉酸が不足すると、ホモシステインをメチオニン(たんぱく質の合成に関わるアミノ酸)に変換できなくなり、血中のホモシステイン濃度が高まります。

このホモシステインの増加により、動脈硬化や認知症の発症リスクが上がると言われています。

 

摂りすぎると…

サプリメントでの過剰摂取に注意

葉酸の過剰摂取による症状として、発熱やかゆみ、蕁麻疹、呼吸困難などが知られています。

とは言え、通常の食事のみで葉酸を摂りすぎるということはほぼありません。

葉酸が配合されたサプリメントを日常的に利用している場合は、サプリメントの目安量を守って過剰摂取にならないよう注意しましょう。

 

こんな人におすすめ

✓妊娠中や授乳中である

✓妊活中である

✓貧血気味である

✓緑黄色野菜をあまり食べない

✓アルコールを好む

✓喫煙習慣がある

 

多く含まれる食品

葉酸を多く含む主な食品

食品名 1食分の目安量(g) 成分含有量(μg)
鶏レバー 70 910
牛レバー 70 700
豚レバー 70 567
菜の花 100 340
からし菜 100 310
春菊 100 190
モロヘイヤ 100 125
イチゴ 100(5~6粒) 90
アボガド 80(1/2個) 67

 

葉酸は、さまざまな食品に含まれていますが、特にレバーや葉物野菜に豊富です。

緑黄色野菜をほとんど食べない人は、葉酸が不足しやすいので注意しましょう。

その他、イチゴやオレンジなどの果物、納豆や豆腐などの大豆製品にも多く含まれています。

 

摂取するときのポイント

不足しやすいのは

葉酸は、健康的な食生活を送っていれば不足する心配はほとんどありません。

ただし、飲酒や喫煙の習慣がある人や、抗生物質を服用している人などは不足しがちなため注意が必要です。

また、妊娠中・授乳中は葉酸の必要量が増えるため、通常時よりも不足しやすくなります。

この時期は特に意識して葉酸を摂取するように心がけましょう。

 

おなかの調子を整える食品を摂る

葉酸は腸内細菌によっても合成されるので、便秘を防いでお腹の調子を整えておくことも葉酸不足を防ぐために大切です。

動物性食品にも葉酸は含まれていますが、緑黄色野菜や葉物野菜には、葉酸だけでなく食物繊維も含まれているため、腸内を健康に保つ意味でもおすすめです。

その他、発酵食品や乳酸菌、オリゴ糖なども善玉菌を増やしてくれます。

 

ビタミンCの過剰摂取に注意

ビタミンCは葉酸の吸収を助けてくれる栄養素ですが、大量に摂ってしまうと、必要以上に葉酸の排泄を促すため注意が必要です。

サプリメントなどでビタミンCを摂取している人は、摂取量が1日2000mgを超えないように気をつけたほうがいいとされています。

 

調理・保存のポイント

葉酸は光によって分解されやすいため、野菜を購入したら、すぐに冷蔵庫などの冷暗所で保存するようにしましょう。

できれば、鮮度の高いうちに食べることをおすすめします。

 

また、水に溶けやすい性質があるため、調理の過程で茹でこぼすと、葉酸が流れ出てしまいます。

調理法としては煮汁ごと食べられるスープや汁物がおすすめです。

 

添田(企画)

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添田(企画)

食べることが大好きな管理栄養士です。食と健康にまつわるお役立ち情報をお届けします♪

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