栄養のこと
2018年06月26日
【ビタミンA】目の健康を保つのに必要不可欠な栄養素|栄養成分辞典
さくら便り
ビタミンAとは
ビタミンAは、油に溶ける『脂溶性ビタミン』の1種で、皮膚や粘膜の健康を維持したり、視力を正常に保つ働きがあります。
ビタミンAには、動物性食品に多く含まれるレチノールと、植物性食品に多く含まれるプロビタミンA(β-カロテンなど)があります。
レチノールは体に蓄積する性質があるので、取りすぎると過剰症を引き起こす可能性がありますが、プロビタミンA(β-カロテンなど)は必要に応じて体内でビタミンAに変換されるので、過剰症の心配なく摂取することができます。
主なはたらき
・皮膚、粘膜を健康に保つ
・感染症を防ぐ
・暗いところで視力を保つ
・成長を促進する
・抗酸化作用(βカロテン)
1日に摂る量
≪1日に必要とされる量 ※30~49歳成人の場合≫
・推定平均必要量:男性650μgRAE、女性500μgRAE
・推奨量:男性900μgRAE、女性650μgRAE
・耐容上限量:男性2,700μgRAE、女性2,700μgRAE
※用語の解説はこちら

ビタミンAの含有量は、動物由来のレチノールや植物由来のプロビタミンA(β-カロテンなど)を下記の換算式に入れて計算し、レチノール活性当量(μgRAE)という形で表されます。
レチノール活性当量の換算式レチノール活性当量(μgRAE)=レチノール(μg)+1/12×β-カロテン(μg)+1/24×α-カロテン(μg)+1/24×β-クリプトキサンチン(μg)+1/24×その他のプロビタミンAカロテノイド(μg) |
式を見てもらうとβ-カロテンは、「×1/12」となっています。
これは、消化吸収率がレチノールと異なるのと、生体内において必要に応じてレチノールへ変換されるので、その過程を加味しているためです。
また、少し前までビタミンAは『IU』という単位で表されていましたが、最近はレチノール活性当量(μgRAE)が一般的になりました。
ちなみに、『1IU = 0.33 μgRAE』に相当します。
不足すると…
夜盲症
明るいところから、暗いところに移るとはじめはなかなか物が見えづらいですが、徐々に目が慣れてくると、暗いところでも物が見えるようになってきます。
これを、暗順応といいます。
『夜盲症』はこの調整機能が上手く働かず、暗いところで物が見えづらい状態が続く症状を指します。
では、この夜盲症にビタミンAはどのように関わっているのでしょうか。
目の網膜にはロドプシンと呼ばれる成分が存在しており、オプシンというたんぱく質と、網膜でビタミンAから作られるレチナールから形成されています。
目に光が入ると、オプシンとレチナールが分離し、その刺激が視神経から脳へと伝わることで物を認識することができます。
つまり、ビタミンAが不足すると、目のロドプシンが減少するため、目で光や物を認識する機能が低下してしまうのです。
ビタミンAは目で光を感知して、それを脳に伝える過程で必要な栄養素なので、目のクリアさを保ちたいのであればしっかり補いたい栄養素です。
ドライアイ、角膜疾患
ビタミンAは皮膚や粘膜の健康を保つ栄養素ですが、その中でも顕著に影響が出るのが、眼球です。
ビタミンAが不足すると、『眼球結膜乾燥症』を引き起こします。
眼球の結膜と角膜が非常に乾燥し潤いが不足する疾患で、眼球結膜はくすみ、しわが寄ったり色素沈着も起こします。
同時に、涙腺も異常をきたすので、いわゆるドライアイ状態を招きます。
治療をおろそかにすると、『角膜軟化症』へと悪化します。
角膜軟化症になると、角膜全体が濁り、やがて目に潰瘍を生じたり、細菌感染を起こします。
そして、最悪の場合、角膜が破れて失明してしまいます。
まずは、ビタミンAが欠乏しないように日々意識することが大切です。
感染症にかかりやすくなる
ウイルスや細菌の感染経路には以下のようなものがあります。
感染経路 | 説明 |
接触感染 | 皮膚や粘膜の接触 |
飛沫感染 | 感染者のくしゃみなどで飛散した体液(唾など)が粘膜に付着 |
空気感染 | 飛沫して空気に長時間滞在する病原菌を吸い込んで粘膜に付着 |
経口感染 | 汚染された食べ物や水を口にすることで感染 |
血液感染・母子感染 | 血液を介して感染する |
血液感染は特殊ですが、基本的にウイルスや細菌に感染するときは口や鼻などの根膜を介します。
ビタミンAが不足すると、皮膚や粘膜が弱くなり、ウイルスや細菌を簡単に体内へ受け入れてしまう状態になるので病気にかかりやすくなってしまいます。
胎児奇形・成長の遅れ
ビタミンAには、体の細胞増殖を促したり、分化を制御するはたらきがあります。
人間の体は、細胞分裂することで大きくなっていきます。
また『分化』とは、分裂した細胞が手になったり、肝臓になったり、様々な器官に変化することです。
ビタミンAが不足すると、これらが正常に行われないため、胎児の奇形(指が5本ない、目が片方ないなど)リスクが上がります。
小児も、不足すると細胞分裂がスムーズに行われないため、なかなか体が大きくならないなどの成長遅延が起きる可能性があります。
摂りすぎると…
目の健康と、感染症を防ぐ面から非常に大切な栄養素であるビタミンAですが、その一方過剰に摂取しても健康被害を招くことが知られています。
通常の食事では過剰症はほとんど起こりませんが、サプリメントなどで大量に摂取した時に過剰症になる可能性があるので、利用する際は使用法をきちんと守りましょう。
頭痛、吐き気
急性中毒(一度に大量に摂取した時)の症状として、脳脊髄液圧の上昇や頭蓋内圧亢進症を引き起こすと言われています。
その結果、中枢神経に刺激を与え、頭痛や吐き気などが現れます。
胎児の奇形を招く
先ほど、欠乏すると成長の遅れを招くと書きましたが、逆に取りすぎても細胞分裂が過剰に起きたり、制御機構に支障が出て胎児奇形を促してしまいます。
実際に、妊娠12週までにビタミンAを大量に摂取した場合、水頭症(髄液が頭蓋腔内に溜まり脳機能に影響を与える)や口蓋裂(口周辺で、本来避けるべきでない場所が裂けてしまう)の発生リスクが上がったという報告もあります。
こんな人におすすめ
✓暗いところで物がみえづらい
✓光をまぶしく感じる
✓風邪をひきやすい
✓肌荒れが気になる
多く含まれる食品
ビタミンAを多く含む主な食品
食品名 | 1食分の目安量(g) | 成分含有量(μgRAE) |
鶏レバー | 70 | 9,800 |
あんこう肝 | 50 | 4,150 |
うなぎの蒲焼き | 100 | 1,500 |
にんじん | 100 | 1,500 |
モロヘイヤ | 50 | 850 |
銀だら | 70 | 770 |
ほたるいか | 50 | 750 |
ほうれん草 | 100 | 700 |
西洋かぼちゃ | 100 | 660 |
レバーは群を抜いて含有量が多いです。
毎日食べる食材ではないので過敏になる必要はないですが、妊娠初期の妊婦さんは過剰症の観点から控えたほうが良いでしょう。
緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンは必要に応じて、ビタミンAに変換されるので過剰症を気にせず積極的に摂取することをおすすめします。
摂取するときのポイント
不足しやすいのは
ビタミンAは多めに摂取した分は体に蓄積されますし、β-カロテンは必要に応じてビタミンAに変換されるのであまり不足することはないでしょう。
しかし、ビタミンAやβ-カロテンが多く含まれる食材は、割と苦手な人がいる『動物性(肉・魚)の肝』と『緑黄色野菜』に集中しているので、これらを避けがちな方ですと、不足してしまう可能性があります。
妊婦さんは緑黄色野菜のβ-カロテンを
ビタミンAは、妊娠中も必要な栄養素ですが、妊娠3か月までに過剰摂取すると胎児奇形が増えることが分かっています。
過剰症で気を付けるべきなのは、動物性食品に多く含まれるレチノールです。β-カロテンは必要な量だけビタミンAに変わる仕組みなので、たくさん摂取しても大丈夫です。
緑黄色野菜には他にも不足しやすいビタミンが多く含まれていますので、栄養バランスの観点からも積極的に摂取することをおすすめします。
調理のポイント
ビタミンAは脂溶性なので、油と一緒に摂取すると吸収率がグッと高くなります。
また、水溶性ビタミンは加熱に弱い性質がありますが、ビタミンAは熱に対しても強く壊れにくいので加熱調理に向いています。
これは、緑黄色野菜に多く含まれるβ-カロテンも同様です。
例えば、にんじんを生で食べたときの吸収率は20%、茹でたときは約40%、炒め物など油を使ったときには約50~70%になると言われています。
炒め物が一番手軽で吸収率も良いのでおすすめです。
サラダなど、生で緑黄色野菜を食べるなら、アーモンドなどのナッツ類を混ぜると良いでしょう。
β-カロテンと油分を一緒に摂ることができますし、おいしさも増すのでぜひ試してみてください。
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