栄養のこと
2018年07月13日
【ビタミンK】納豆に豊富な止血ビタミン|栄養成分辞典
さくら便り
ビタミンKとは
ビタミンKは脂溶性ビタミンの1種で、主に血液凝固と骨の石灰化に関わる栄養素です。
ドイツ語で『凝固』を意味する『Koagulation』の頭文字(K)が由来だと言われています。
ビタミンKの種類
その構造や性質からK1~K5の5種類が存在しますが、天然のビタミンKはK1とK2の2種類のみです。
ビタミンK1(フィロキノン)は、植物の葉緑体で作られるため、葉野菜を中心とした緑黄色野菜や海藻類に豊富に含まれています。
一方、ビタミンK2(メナキノン)は主に、微生物によって作られるため、納豆や動物性食品に多く含まれ、ヒトの腸内細菌によっても生成されます。
ビタミンKの作用
名前の由来にもなっている”凝固作用”は、ビタミンKのはたらきの中で最も重要な作用です。
様々な血液凝固因子(トロンビン、プロトロンビンなど)が連鎖反応を起こすことによって、『止血』が完了します。
ビタミンKは、これら血液凝固因子の中でも特にキーになる凝固第Ⅱ因子、凝固第Ⅶ因子、凝固第Ⅸ因子、凝固第Ⅹ因子の生成に必要な補因子です。
これらの因子は、ビタミンKの存在の有無で生成されるか左右されるので『ビタミンK依存性たんぱく質』とも呼ばれます。
また、ビタミンKは、骨にカルシウムを沈着させて骨形成を促進する”オステオカルシン”というたんぱく質を活性化させるので、健康的な骨を作るためにも必要な栄養素です。
ビタミンKについての研究報告
まだ研究段階ではありますが、近年様々な作用が報告されているのでいくつかご紹介します。
【心臓病】:ビタミンK2の摂取量が高い群では低い群と比べて動脈石灰化が抑制され、心臓病による死亡率が半分程度であったことが報告された。
【メタボ】:ビタミンK2の高用量摂取はメタボリック症候群の発生を減らす。
【2型糖尿病】:ビタミンKはインスリン抵抗性(感受性)を改善し、2型糖尿病のリスクを低下させると示唆されている。
徐々に明らかになってきたビタミンKの秘められた力に、今後も注目ですね。
主なはたらき
・骨の健康を保つ
・血液を凝固させる
1日に摂る量
≪1日に必要とされる量 ※30~49歳成人の場合≫
・推定平均必要量:なし
・推奨量:なし
・目安量:男性150μg、女性150μg
・耐容上限量:なし
※用語の解説はこちら
不足すると…
骨がもろくなる
ビタミンKは、オステオカルシンというたんぱく質を活性化し、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促す作用があります。
よって、不足すると、骨がもろくなり骨粗しょう症を発症しやすくなる可能性があります。
出血がとまらなくなる
止血過程において重要な凝固因子を肝臓で生成するときに、補酵素として生成に必要不可欠なのがビタミンKです。
したがって、欠乏すると血液中の凝固因子が減少し、血液凝固に時間がかかるため、なかなか血が止まりづらくなってしまいます。
摂りすぎると…
耐容上限量は設定されていない。
脂溶性ビタミンでは珍しく、耐容上限量は設定されていません。
日本では、骨粗しょう症の治療薬として45mg/日(30~49歳成人の目安量の300倍)を投与しても健康上問題がなかったという報告があります。
ビタミンKは、腸内細菌から作られ、様々な野菜に含まれているので一般的な食生活を送っていれば、不足することも取りすぎることもないと考えられています。
しかし、サプリメントなどによって大量に摂取した場合、急性の過剰症として貧血や血圧低下が起こる可能性があるので注意が必要です。
こんな人におすすめ
✓骨が弱くなっている
✓抗生物質を服用している
✓妊婦・授乳婦
✓新生児
✓閉経後の女性
多く含まれる食品
ビタミンKを多く含む主な食品
食品名 | 1食分の目安量(g) | 成分含有量(μg) |
挽き割り納豆 | 50g(1パック) | 650 |
糸引き納豆 | 50g(1パック) | 435 |
ほうれん草 | 100g | 270 |
大根の葉 | 100g | 270 |
春菊 | 100g | 250 |
小松菜 | 100g | 210 |
かぶの葉 | 50g | 170 |
干しひじき | 10g | 32 |
摂取するときのポイント
不足しやすいのは
抗生物質を利用中の人
ビタミンKは、腸内細菌によっても生成されています。
抗生物質などを長期服用していると、腸内細菌が無差別に攻撃されてしまうので、ビタミンKが生成されず、不足してしまう可能性があります。
新生児
生まれてすぐの新生児の腸には、腸内細菌がおらず自身の体でビタミンKを作り出すことができません。
その結果、ビタミンKが不足すると、脳内で出血が起きる『頭蓋内出血症』を招き、最悪死に至る場合もあります。
このような状態を防ぐために、生後間もない新生児には『ビタミンKシロップ』が投与されます。
また、粉ミルクによってはビタミンKが添加されているものもあります。
自分で食べ物を選べない新生児だからこそ、不足しないように注意したい栄養素の1つです。
ワルファリンとの使用は禁忌
血栓症の予防や治療に使われるワルファリン(ワーファリン)は、血液を固まりにくくする薬です。
この薬の服用者がビタミンKを大量に摂取すると、血液凝固作用によって血栓ができやすくなってしまいます。
つまり、せっかく飲んでいる薬の効果を帳消しにしてしまうことになるのです。
特に納豆は、1パック(50g)で650μgもビタミンKが含まれている上、納豆菌が腸内でビタミンKを作り出すので上記の薬を服用している方は摂取を控える必要があります。
ビタミンK生成のために併せて摂りたい食品・栄養素
発酵食品・オリゴ糖
腸内細菌によってビタミンKは生産されます。
したがって、腸内細菌が住みやすいような腸内環境を作ることが大切です。
発酵食品に含まれる善玉菌(乳酸菌、納豆菌など)は、私たちの腸内環境を整えてくれます。
また、オリゴ糖は腸内の善玉菌であるビフィズス菌の栄養になることで、善玉菌優勢の環境をつくります。
ヨーグルトやナチュラルチーズ、納豆といった発酵食品を積極的に取りましょう。
骨を強くするために併せて摂りたい栄養素
カルシウム
カルシウムは骨の主成分であり、丈夫な骨を作る上で大切な栄養素です。
骨以外にも、あらゆる細胞の機能や神経の伝達など、生命を維持する上でカルシウムは重要な役割を担っているので、血中濃度は常に一定に保たれています。
血中のカルシウムが不足すると、骨を構成しているカルシウムが血中に移動してしまうので骨がもろくなってしまいます。
成長期や、閉経後は骨の健康を守るために特に必要になってくるのでしっかり補いましょう。
ビタミンD
ビタミンDも、健康的な骨を作るために必要な栄養素です。
腸管から、カルシウムとリンの吸収を助け、血中のカルシウムの濃度を高めたり、骨の形成を促進します。
調理のポイント
ビタミンKは脂溶性なので、油と一緒に摂取すると吸収率がグッと高くなります。
熱に対しても強く、壊れにくいので加熱調理に向いているので緑黄色野菜を使った野菜炒めがおすすめです。
特に納豆には豊富に含まれているので、日々の食卓に意識して加えるとよいでしょう。
バランスよく取るよう心がけましょう。
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