栄養のこと

2018年10月03日

【鉄】赤血球の構成成分となる|栄養成分辞典

さくら便り

鉄とは

 

鉄の性質

鉄は、赤血球の血色素の「ヘモグロビン」や、筋肉の「ミオグロビン」の構成成分となり、体のすみずみに運ぶ役割を担っているミネラルです。

酸素運搬役としての役割を果たす「機能鉄」、肝臓や脾臓、骨髄などに貯蔵されている「貯蔵鉄」があります。

体内で利用される鉄の多くは、一度赤血球として利用され、老朽化したのち再度赤血球に作り変えられる「再利用鉄」ですが、一部は体外へ排泄されてしまうため、食事で補給する必要があります。

食事から摂取された鉄は小腸上部から吸収され、血液中のトランスフェリンと結合して骨髄、肝臓、脾臓などの臓器へ運ばれ貯蔵されます。

 

ヘム鉄と非ヘム鉄

食品中に含まれる鉄は、おもに「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」という種類に分けられます。

ヘム鉄は、赤身の肉や魚、レバーなど動物性食品に含まれ、吸収率は約30%です。

一方非ヘム鉄は、大豆製品や野菜、海藻類に含まれ、吸収率は約5%とヘム鉄に比べかなり低いです。

動物は肝臓に鉄を貯めるため、「鉄分といえばレバー」というイメージ通り、レバーには多くの非ヘム鉄が含まれています。

鉄分を補い人にはとてもオススメの食材ですが、同時にレチノール(ビタミンA)もたくさん含んでいます。

妊娠中のレチノール(ビタミンA)過剰摂取は、胎児の奇形の恐れがあるのでなるべく他の食材から摂取したほうが良いでしょう。

 

赤血球と鉄

鉄は、赤血球の血色素の「ヘモグロビン」にを作るうえで必要不可欠な材料です。

赤血球の寿命は約120日と言われ、4~5万個/日のペースで脾臓で作り変えられています。

体に酸素を運ぶ「機能鉄」が不足すると、それを補うために貯蔵鉄が利用され、それも少なくなり血液中で機能する鉄量が減ってしまうと体にさまざまな不調をきたします。

この状態を「鉄欠乏性貧血」といいます。

一般的に貧血はヘモグロビンの数値等で診断されますが、その値が正常値(=血液検査では貧血と診断されない)であっても、「貯蔵鉄(フェリチン)」が低下している場合もあります。

これを「隠れ貧血」といい、”貧血予備軍”の状態にあたります。

 

1日に摂る量

≪1日に必要とされる量 ※30~49歳成人の場合≫

・推定平均必要量:男性6.5mg、女性9.0mg(月経なし5.5mg)

・推奨量:男性7.5mg、女性10.5mg(月経なし6.5mg)

・耐容上限量:男性55mg、女性40mg

 

※用語の解説はこちら

 
 
 ※厚生労働省による【日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要】より引用
 
 

不足すると…

不足すると、免疫機能が低下したり、疲れやすくなったり、感染症かかりやすくなる、といった不調をきたします。

 

詳しくは下記をご覧ください。

「貧血」に関して

【”貧血”とは】管理栄養士コラム vol.2

 

具体的な症状に関して

【貧血の症状(前編)】管理栄養士コラム vol.3

【貧血の症状(後半)】管理栄養士コラム vol.4

 

月経のある年代の女性、妊娠中の人は不足しやすいので、意識して摂取する必要があります。

 

摂りすぎると…   

サプリなどで摂りすぎると、鉄過剰症を引き起こす可能性がありますが、通常の食生活では起こることはほとんどありません。

C型肝炎ウイルスに感染している人は、鉄の摂取が肝臓病を悪化させてしまう恐れがあるので、1日の鉄分摂取量を「6mg以内」に留めるようにしましょう。

 

こんな人におすすめ

✓貧血ぎみである

✓月経時の出血が多い人

✓現在妊娠している、または授乳中の人

✓コーヒーや紅茶をよく飲む

✓指先、足が冷えやすい

✓よく疲れを感じる

✓足がムズムズして夜眠れない

 

多く含まれる食品

鉄分を多く含む食品例▽

食品名 1食分の目安量(g) 成分含有量(mg)
あさり 30  11.3 
レバー(豚) 70  9.1 
レバー(鶏) 70  6.3 
干しひじき 10  5.5 
なまり節(1切) 70  3.5 
がんもどき 100  2.9 
小松菜 80  2.8 
 ほうれん草 100  2.0 
糸引き納豆  50  1.7 
しじみ  30  1.6 

 

摂取するときのポイント

吸収を阻害する食品たち

食べ物の中には、鉄分の吸収を阻害してしまうものがあります。

いくつか例を挙げます。(かっこ内は、阻害する原因成分)

・お茶、コーヒー、赤ワインなど(タンニン酸)

・未精白の穀類など(フィチン酸)

・インスタント食品、加工食品など(リン酸塩)

・おから、大豆など(食物繊維)

適量であれば問題ありませんが、貧血気味の方は「食事中に濃いお茶を飲まない」「インスタント食品を控える」「必要以上に食物繊維の多い食品は取らない」など意識したほうがいいでしょう。

 

調理のポイント

鉄は、通常食品に「二価鉄」という形で存在しています。

ビタミンCと一緒に摂ることによって、溶解性の高い「三価鉄」に変換され、吸収率がグッと高まります。

なので、鉄を多く含む肉類にレモンを添えるなど、なるべくビタミンCの多い食品と組み合わせて調理・摂取するとよいでしょう。

食事のとき、お茶の代わりにオレンジジュースやグレープフルーツジュースを飲むのもおすすめです。

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さくら便り

『 ともに豊かに 』 人生の豊かさ<健康・充実・愛>をともに想い描き、 心とからだに安心を、日常に何気ない幸せをお届けします。

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