栄養のこと

2018年07月20日

【カリウム】ナトリウムを排泄し高血圧を防ぐ|栄養成分辞典

添田(企画)

添田(企画)

カリウムとは

 

カリウムは、生命を維持するうえで欠かせない必須ミネラルの一つです。

主に細胞内液に存在しており、細胞外液に存在するナトリウムとともに、細胞の浸透圧や水分バランスを調整しています。

体内の余分なナトリウムの排泄を促し、血圧を安定させる働きがあるため、高血圧の予防効果が期待されています。

そのほか、老廃物の排泄を促す、むくみを改善する、筋肉や神経の働きを正常に保つ、骨密度を高める、などの働きがあります。

カリウムは幅広い食品に含まれていますが、塩分過多の傾向にある日本人にとっては不足しがちなミネラルでもあり、特に意識して補うよう推奨されています。

 

主なはたらき

・細胞内外の浸透圧や水分量を調整する

・筋肉や神経のはたらきを正常に保つ

・老廃物の排泄を促す

・むくみを予防改善する

・骨密度を高める

 

1日に摂る量

≪1日に必要とされる量 ※30~49歳成人の場合≫

・目安量:男性2500mg、女性2000mg

・目標量:男性3000mg以上、女性2600mg以上

 

※用語の解説はこちら

 

 
 
 

不足すると…

カリウムは幅広い食品に含まれているため、通常の食生活において欠乏する心配はほぼありません。

ただし、激しい嘔吐・下痢や、多量の発汗、長期にわたる利尿降圧剤の服用により、カリウム排泄量が増大すると、欠乏症を起こすことがあります。

 

高血圧・むくみ

カリウムが不足すると、余分なナトリウムの排泄が上手くいかなくなるため、塩分過剰の場合と同じ症状が現れるようになります。

 

体内のナトリウム量が増大すると、血中ナトリウム濃度を下げるために、細胞内の水分が血管内へ浸透します。

そのため血流量が増え、血圧が上がり(=高血圧)、この状態が慢性的に続くと高血圧症を招きます。

また、同時に血管内の水分が徐々に外へ染み出し、肌の下の細胞と細胞の間に水が溜まるようになることで、むくみが起こりやすくなります。

むくみが気になるときは、減塩とあわせてカリウム補給を心がけるようにしましょう。

 

食欲不振・吐き気・脱力感

さらに慢性的なカリウム不足になると、食欲低下、吐き気、脱力感などの症状がみられるようになります。

 

筋力低下・骨格筋麻痺

カリウムは筋肉でのエネルギー産生を助ける働きがあるため、不足することで、筋肉の収縮がスムーズにできず、筋力が低下します。

また、神経伝達機能が衰えることで骨格筋麻痺などもみられることがあります。

 

摂りすぎると…

耐容上限量は設定されていない

カリウムは通常、大量に摂取しても汗や尿と一緒に体外へ排泄されます。

そのため、通常の食事においてカリウムの過剰摂取になるリスクは低いと考えられており、耐容上限量は設定されていません。

 

腎機能障害がある場合は注意

ただし、腎臓機能に障害がある場合は、カリウムの排泄機能が低下しているため、摂取量には注意が必要です。

カリウムが排泄できずにどんどん蓄積されていくと、「高カリウム血症」を発症します。

症状としては、嘔吐・しびれ・脱力感・知覚過敏など。

ひどくなると不整脈や心停止を引き起こすこともあります。

腎機能障害が指摘されている場合は、栄養指導に従って上限量を超えないように摂取するようにしましょう。

 

こんな人におすすめ

✓高血圧

✓夏バテしやすい

✓ストレスを感じやすい

✓濃い味を好む

✓外食が多い

✓加工食品に頼りがち

 

多く含まれる食品

カリウムを多く含む主な食品

食品名 1食分の目安量(g) 食塩含有量(mg)
里芋 100g(2個) 640
アボガド 80g(1/2個) 576
トマトジュース 200g 520
乾燥ひじき 10g 440
じゃがいも 100g(1個) 410
バナナ 100g(1本) 360
切り干し大根 10g 320
キウイフルーツ 100g(1個) 290

 

カリウムは、野菜や果物、芋類、海藻類などの植物性食品に豊富に含まれています。

肉類や魚介類などの動物性食品にもカリウムは含まれていますが、同時にナトリウムも多量に摂取してしまうため、摂りすぎには注意が必要です。

カリウムは生鮮食品に豊富であることが多く、調理時の損失により、加工や精製が進むと含有量が低くなる傾向があります。

 

摂取するときのポイント

味付けがシンプルなものを

野菜や果物、芋類などのほとんどが、高カリウム・低ナトリウムとなっています。

ただし、調理の過程で食塩・味噌・醤油などの塩分含有量が高い調味料を多く使うと、ナトリウム量が過剰となり、ミネラルバランスが悪くなります。

カリウムの供給源としては、味付けなしでも食べやすい果物がおすすめです。

 

不足しやすいのは

日常的に外食が多い人や加工食品・インスタント食品をよく食べる人は、塩分過多になりやすく、同時にカリウムが不足しがちです。

ナトリウムの排泄を促すために、意識的にカリウムを摂取する必要があります。

なるべく外食や加工食品をとる頻度を減らし、カリウムが豊富な生鮮食品を選んでみるように心がけましょう。

また、嘔吐・下痢が続く場合にもカリウムが不足しやすいので注意が必要です。

 

調理のポイント

カリウムは水に溶けやすい性質があるため、加熱調理が必要な場合は、煮汁ごと食べられる調理法がおすすめです。

煮物や汁物にすると、カリウムの損失を防ぎ、効率的に補うことができます。

ただし、濃い味付けにしてしまうと、塩分の摂りすぎになってしまうため、薄味を心がけましょう。

野菜や果物などは、サラダなどにして生食にするのがおすすめです。

 

添田(企画)

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添田(企画)

食べることが大好きな管理栄養士です。食と健康にまつわるお役立ち情報をお届けします♪

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