栄養のこと
2018年07月23日
【カルシウム】歯や骨の形成に欠かせないミネラル|栄養成分辞典
添田(企画)
カルシウムとは
カルシウムは、人間の体内に最も多く存在するミネラルです。
体内のカルシウムの約99%が歯や骨などの組織に存在しており、これらのカルシウムは「貯蔵カルシウム」と呼ばれています。
丈夫な歯や骨をつくるために欠かせない重要な成分です。
特に、骨はカルシウムの貯蔵庫であり、血液中のカルシウムが不足すると、骨からカルシウムが溶け出し、逆に過剰時には骨に貯蔵されます。
こうして血液中のカルシウム濃度が一定に保たれているのです。
体内のカルシウムの残りの約1%は血液中や筋肉、神経に含まれており、これらのカルシウムは「機能カルシウム」と呼ばれています。
機能カルシウムは、神経伝達物質のコントロール、筋肉収縮、血液凝固、ホルモンの分泌、唾液・胃酸の分泌などに関与しています。
生命維持のためにとても重要な役割を担っている成分です。
カルシウムは、ここ数十年にわたり日本人に慢性的に不足していると言われています。
子供から年配者までどの年代においても不足しがちな栄養素であるため、積極的な摂取が推奨されています。
主なはたらき
・丈夫な歯や骨をつくる
・神経伝達物質をコントロールする
・血液凝固因子を活性化させる
・ホルモン分泌を促す
・唾液、胃液の分泌を促す
1日に摂る量
≪1日に必要とされる量 ※30~49歳成人の場合≫
・推定平均必要量:男性550mg、女性550mg
・推奨量:男性650mg、女性650mg
・目安量:なし
・耐容上限量:男性2500mg、女性2500mg
※用語の解説はこちら

不足すると…
骨粗鬆症
体内のカルシウム量が減少すると、血中カルシウム濃度を安定させるために、骨に貯蔵されているカルシウムが血液中に運ばれます。(=カルシウム・パラドックス)
この状態が長く続くと、骨のカルシウムがどんどん失われ、骨密度が低下し、「骨粗鬆症」を発症します。
カルシウム・パラドックスとは体内のカルシウム量が不足すると、逆に血中カルシウム量が増えるという現象が起こります。 これが「カルシウム・パラドックス(逆説)」です。
体内のカルシウムのほとんどは骨に存在しており、その他の組織に存在しているカルシウムは極微量ですが、このわずかなカルシウムが生命を維持するために重要な役割を担っています。 そのため、体内のカルシウムが不足すると、身体が危機感を感じ、副甲状腺ホルモンが骨に貯蔵されているカルシウムを取り出し、次々に血液中へ移動させるのです。
これは血中カルシウム濃度を一定に保つためのしくみですが、慢性的にカルシウム不足になると、常に副甲状腺ホルモンが分泌されることとなり、骨から過剰にカルシウムが溶け続けます。
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高血圧・動脈硬化
カルシウム・パラドックスにより、骨から溶け出たカルシウムは、血管壁に付着していきます。
その結果、血管の内腔が狭くなり血流が悪化するため、高血圧を引き起こしやすくなります。
また、血管壁に付着したカルシウムは石灰化され、硬くなってしまうため、「動脈硬化」にもつながります。
ストレス・いらいら
機能カルシウムには、神経の興奮を鎮めるはたらきがあるため、不足することで神経過敏になり、ストレスを感じやすくなったり、いらいらを抑えきれなくなったりします。
また、いらいらを抑えるためにタバコを吸うことも、カルシウム不足を招くため注意しましょう。
まぶた・筋肉の痙攣
カルシウムが不足すると筋肉の収縮活動が低下し、まぶたがピクピクと痙攣するようになります。
さらにひどくなると、テタニー(筋肉の痙攣)やてんかん(全身の痙攣)がみられるようになります。
これらの症状は、副甲状腺の機能異常やビタミンD欠乏症などにより血中カルシウム濃度が低下した場合に起こりやすいと言われています。
摂りすぎると…
カルシウムの耐容上限量は、男女ともに2500mg/日と設定されていますが、通常の食事において上限量を超えるほどの量を摂取することはほぼ不可能であり、過剰症の心配はありません。
ただし、サプリメントや栄養強化食品などでカルシウムやビタミンDを多量に摂取すると過剰症を引き起こすことがあるため注意しましょう。
カルシウムが過剰になると、以下のような症状がみられます。
便秘・下痢・食欲不振
初期症状として、便秘や下痢、食欲不振などがあります。
また、多尿になり脱水症状を引き起こすこともあります。
錯乱・昏睡・幻覚
さらに重症になると、意識がぼんやりし、錯乱状態や昏睡状態に陥ったり、幻覚が見えるようになったりします。
カルシウム過剰による合併症としては、以下のようなものがあります。
腎結石・尿管結石
結石は、尿中のカルシウムやリン、尿酸などの物質が結晶化して固まったものです。
過剰にカルシウムを摂取すると、腸管内で結石が作られやすくなり、腎臓で尿が作られ体外へ排泄されるまでの過程で詰まってしまうことで起こります。
結石は、水分摂取量が少なかったり大量の汗をかいたりすることで、尿量が減ると発症しやすいと言われていますが、カルシウムの過剰摂取もリスクとして考えられています。
ミルク・アルカリ症候群
慢性の腎臓障害の一つ。
アルカリ剤と牛乳を多量に摂ることで、高カルシウム血症や、軟部組織へのカルシウム沈着、腎障害を引き起こします。
高血圧・動脈硬化
カルシウム不足により高血圧になりやすいとお話ししましたが、体内カルシウム量が増えすぎた場合も血中カルシウム濃度が高まってしまうため、高血圧や動脈硬化になりやすく注意が必要です。
こんな人におすすめ
✓成長期の子供
✓骨や歯を強くしたい
✓いらいらしやすい
✓妊娠中や授乳中
✓閉経している
多く含まれる食品
カルシウムを多く含む主な食品
食品名 | 1食分の目安量(g) | 食塩含有量(mg) |
エメンタールチーズ | 30g | 360 |
煮干し | 10g | 220 |
普通牛乳 | 200g | 220 |
がんもどき | 80g | 216 |
水菜 | 100g | 210 |
桜えび | 10g | 200 |
木綿豆腐 | 150g(1/2丁) | 180 |
小松菜 | 100g | 170 |
カルシウムの腸管内での吸収率は低く、牛乳や乳製品で約50%、小魚などは約30%、野菜は20%弱となっています。
そのためカルシウム補給には吸収率の高い牛乳や乳製品が奨められています。
牛乳を飲むことでお腹が痛くなる乳糖不耐症の人は、ヨーグルトやチーズなどで摂るようにするとよいでしょう。
摂取するときのポイント
不足しやすいのは
女性ホルモンのエストロゲンはカルシウムの吸収を助けています。
そのため、エストロゲン量が減少する閉経後の女性では、カルシウムの吸収率が低下し、骨量が急速に減少することで骨粗鬆症を発症しやすくなります。
また、授乳中の女性もエストロゲン分泌が減少するため、骨量が低下しやすく注意が必要です。
マグネシウム不足に注意
カルシウムは過剰に摂取しても尿中に排泄されるため過剰症の心配はそれほどないのですが、カルシウムをとればとるほどマグネシウムも消費されるため、ミネラルバランスが崩れやすくなります。
マグネシウムにも、カルシウムとともに骨をつくる働きがあり、不足しないよう注意したいミネラルです。
理想的なカルシウムとマグネシウムのバランスは「2:1」だと言われています。
リンの摂りすぎに注意
リンもまた、カルシウムとともに骨を構成している栄養素ですが、こちらは摂りすぎるとカルシウムの吸収阻害や、体外への排泄促進にはたらきかけるため注意が必要です。
リンは、肉類や加工食品、スナック菓子、清涼飲料水などに多く含まれており、手軽な加工食品やインスタント食品に頼りがちな人は摂取量に気をつけましょう。
理想的なカルシウムとリンのバランスは「1:1から1:2まで」と言われています。
吸収を助ける成分
カルシウムの吸収を助ける成分として、ビタミンD、乳糖、たんぱく質、何消化性オリゴ糖、クエン酸などが挙げられます。
ビタミンDは、腸管でのカルシウム吸収を促してくれるため、一緒に補いたい栄養素です。
また、カルシウムを多く含む食品の中でも、牛乳のカルシウム吸収率が高いのは、乳糖やたんぱく質も含んでいるからだと考えられています。
吸収を阻害する成分
飽和脂肪酸、ナトリウム、シュウ酸、フィチン酸、食物繊維などは、摂りすぎるとカルシウムの吸収が悪くなります。
ナトリウムもリンと同様、加工食品やインスタント食品に多く含まれがちです。
摂りすぎると、カルシウムを体外へ排泄してしまいます。
シュウ酸やフィチン酸は、主に野菜や豆類に含まれている「苦味・えぐ味」の成分です。
シュウ酸はカルシウムだけでなく、骨をつくるのに大切なマグネシウムの吸収も妨げます。
調理のポイント
骨ごと食べられる煮干しやししゃも、いわしなどにはカルシウムが豊富ですが、それだけでなくカルシウムの吸収を助けるビタミンDも多く含まれています。
カルシウムを効率的に吸収するために優れた食材なので、できるだけ食卓に取り入れるようにしてみましょう。
また、カルシウムの吸収を阻害するシュウ酸やフィチン酸は、加熱処理によって取り除くことができます。
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