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2019年05月17日

【極み職人 vol.19】音育(おといく)でこれからの日本を救う匠

原武(さくらもち制作部)

原武(さくらもち制作部)

 

こんにちは、さくらの森の原武です。

毎月様々な分野で活躍する職人にスポットライトを当て、ご紹介するこのコーナー。

皆様に匠の取り組みや熱い想いをお伝えし、新たな発見や興味につながるきっかけになれたら嬉しいです。

 

今回ご紹介させて頂く職人はこの方!

一般社団法人音育デザイン 代表理事

佐々 好美(さざ よしみ)さん

 

「音育」とは?

 

知り合いのデザイナーのSNSを見ていると、エレキベースを抱えた女性の写真が載っていた。

見るからにお若いその女性の写真に添えてあったのは、風貌とは不釣り合いな「社団法人になった」という文字。

そして「音育」。気になったので早速コンタクトを取ると、躊躇なく引き受けてくださった。

それもそのはず、今回の匠、佐々好美さんの前職で、弊社スタッフが就職活動中にお世話になっていたのだとか。

ご縁に感謝しつつ、楽器のレッスンが行われているスタジオにお邪魔した。

私たちが佐々さんのもとにうかがった3月末は、事業の本格的な始動をまじかに控えている段階だった。

彼女が準備しているのは、いわゆる音楽教室。

しかし「音育」という名前をつけていらっしゃるのを鑑みると単なる音楽教室とは思えず、話を深堀してみた。すると、そこには佐々さんのある思いが秘められていた。

 

音楽が認知症に?

 

「大好きだった祖母の山菜おこわが、もう食べられない」

佐々さんが起業するきっかけとして話してくれたのは、あまりに意外なことだった。

彼女がいつも楽しみにしていた祖母のおこわ。その作り方を祖母は忘れてしまったと言う。祖母の認知症の現実を突きつけられた瞬間だった。

そんな折、佐々さんの目に飛び込んできたのは音楽を聴いたり楽器を演奏したりすることが、認知症患者にいい影響をもたらすというものだ。

例えば、あなたが懐かしい歌を聴くとする。すると、その歌が流行っていたころの思い出がいきいきと蘇ってくるはずだ。またそのころの活力さえも蘇る。そして楽器を演奏すれば、さまざまな脳の部位が働くことにより、脳が活性化され、とても良い刺激となるという。

佐々さんは、3才からピアノを習い始め、小中学校では打楽器や吹奏楽を経験した。自分が小さいころから身につけてきた音楽によって、認知症予防に寄与し、楽しい記憶を保ったまま人生を過ごせるような仕組みができないか、そう考えたのだ。

 

あえての遠回り

 

しかし、それが単なる音楽教室に終わらないところが、この小柄な音楽家の注目点だ。

高校卒業後、音楽の専門学校でまず彼女が学んだのは、音響と歌だった。レコーディングを通じて自分の歌唱に限界を感じた佐々さんは、ピアノ先行に変更。ピアノの師に付き、その腕は学生の間に九州全域の楽器店をデモンストレーション販売して回るまでになっていた。

そんなころ、前述の祖母の病気の発覚。彼女の思うような音楽療法をを意図した会社を探してみるがなかなか見つからない。

「ならば自分で作ろう」となったのか彼女のすごいところだ。だが、いくら音楽が認知症予防に良いとはいっても、若いころから高齢になるまで楽器演奏を続けているひとは多くはない。一般の人たちは音楽とどのようにかかわっているのだろう?

まず彼女が取り掛かったのは、実態を肌で感じることだった。卒業後の就職先に、音楽業界でなく、一般企業を選んだ。望むべくして様々な業界の人とのご縁を得たが、「上司方すると、扱いにくい社員だったと思います」と当時を振り返る。

 

また、ご年配の方ばかりの歌謡曲室に通ったり、福祉士の妹さんから聞くなどして、高齢者の現状を調べた。その結果わかったのは、多くの場合、女性は外餌出て人との交流が自然とできる。しかし問題は男性だということ。特に寡黙かつ奥様を亡くされた方などは孤立しがちだ。孤独死につながりかねない現状もあった。

そして、「若いころにあこがれていたギターを習いたい」「何かやりたいが、きっかけが掴めない」

このような人たちにも気軽に手を出して頂けるように、プランも幅広く自由にしたいというのが、佐々さんの考えだ。

「50歳代から始めて、70でも80でも続けて欲しいんです」

 

欲を抑えてまでも

 

このように、いつまでも楽しく音楽を続けていくためにも、講師の役割は重要だ。世の中には、技術は持っているのに教え方がわからない方がたくさんいる。そんな方々にも賛同してもらえるよう、講師を資格化すり事に着目した佐々さん。

「それを実現するための一般社団法人化なんです」

と話してくれた。

 

この事業を成功させるためにも、自分が講師としてではなく、受講者と講師とのつなぎ役に徹するのだという覚悟を聞かせてくれた。最後に、演奏家としての欲はないのかを尋ねた。すると彼女は「その葛藤が、今の課題なんです」と明るく打ち明けてくれた。

「今はこの事業を軌道に乗せること。自分が演奏家や講師になると、事業の基盤作りが難しくなりますから。でも、落ち着いたら、自らも未経験の楽器に挑戦して、皆さんに見てもらおうと思っています。」

 

60の手習いをサポートする志高き匠に、心からの応援を贈りたい。

お問い合わせ先

一般社団法人 音育デザイン

ホームページ:https://otoiku-d.or.jp

Facebook:https://www.facebook.com/pg/otoiku.design/

e-mail:info@otoiku-d.or.jp

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さくらの森の会報誌「さくらもち」の企画編集、執筆、写真を担当。

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