さくらの森コラム
さくらの森コラム


この記事を書いたスタッフ
さくらの森

【執筆・監修者】
中村 幹夫(なかむら・みきお)
社会医療法人 青洲会 理事長/百年橋リハビリテーション病院 理事長
1984年 長崎大学医学部 卒業。
1994年 福岡青洲会病院 入職。
2001年 同病院長に就任、2016年より現職。
※本記事の内容は、監修者の見解に基づいており、すべての方に当てはまるものではありません。症状に応じて医師にご相談ください。
「階段を上るとき膝が痛い」
「雨の日は特につらい」
「立ち上がるときにズキッとする」
年齢を重ねると、こんな膝の悩みを抱える方が増えてきます。病院で痛み止めをもらったり、湿布を貼ったり、注射を打ったりしても、これらは一時的に痛みを抑えるだけで、根本的な解決にはなりません。
そこで注目されているのが、体の内側から膝をケアする方法です。しかし、内側からケアすると言っても、何をどのように摂取すべきか、わからないという人も多いのではないでしょうか。
今回は、膝をケアする方法を成分から解説します。成分がなぜ効くのかも解説しますので、最後までお読みください。
まずは、そもそもなぜ膝は痛くなるのかというところを抑えていきましょう。
膝の痛みを理解するために、まず膝の仕組みを簡単に説明します。なにを取ればよいのか?という点で非常に重要ですので、知っているという方も改めてご覧ください。
膝の構造とは?
膝は、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)がつながる部分です。骨と骨の間には軟骨というクッションがあります。
この軟骨は主に次の2つでできています。
- Ⅱ型コラーゲン:軟骨の骨組みとなるタンパク質
- プロテオグリカン:水分を抱え込んでクッションの役割をする成分
また、関節の中には関節液という潤滑油があり、ヒアルロン酸などが含まれていて動きをスムーズにしています。
膝が痛くなる理由
では、なぜ膝は痛くなるのでしょうか。年を重ねると、主に次の5つの変化が起きて膝が痛くなると言われています。
①軟骨がすり減る
長年使っているうちに、クッションである軟骨が薄くなります。
②骨同士がぶつかる
軟骨が減ると、骨と骨が直接こすれて痛みが出ます。
③炎症が起きる
すり減った軟骨のかけらが関節の中で炎症を起こします。
④筋力が落ちる
太ももの筋肉が弱くなると、膝への負担が増えます。
⑤体重が増える
このように、膝の悩みを抱えてしまう理由は一つではなく、複雑に絡みあっています。例えば、雨の日に痛むのは、気圧が下がって関節が膨らみ、神経を刺激するからです。寒い日は血行が悪くなって痛みが強くなります。
そのため、サプリメントを選ぶときは一つの成分を選ぶのではなく、いくつかの成分を組み合わせて摂取するのがおすすめです。
ここからは、膝の痛みに効果的な成分について、実際の研究結果とともに詳しく説明していきます。
ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン
ブラックジンジャーは、タイ原産の黒いショウガです。普通のショウガとは違い、ポリメトキシフラボンという特別な成分が含まれています。
筋力アップで歩きやすくなる
60歳以上の方を対象にした研究では、ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンを1日7.2mg、8週間飲み続けてもらいました。その結果、6分間で歩ける距離が、飲んでいない人と比べて明らかに伸びました。別の研究では、1日12mgを8週間飲んだ人は、6分間歩行距離が平均21.7メートルも伸びました。飲んでいない人は変化がありませんでした。
炎症を抑えて軟骨を守る
動物実験ですが、関節炎のモデルにブラックジンジャーを与えたところ、以下のような変化がありました。
- 痛みを感じにくくなった
- 軟骨が壊れるのを防いだ
さらに、軟骨細胞を使った実験では、ブラックジンジャーの成分がMMP(軟骨を壊す酵素)の働きを抑えることがわかりました。つまり、ブラックジンジャーの成分が軟骨が削られるのを防いでくれたのです。
内臓脂肪が減少する
肥満気味の方が1日12mgを12週間飲んだ研究では、内臓脂肪の面積が明らかに減りました。体重が減れば、膝への負担も軽くなります。
効果が出るまでの時間
筋力アップは8週間程度、炎症を抑える効果は2〜3ヶ月続けると実感できると言われています。
サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン
プロテオグリカンは、もともと私たちの軟骨に含まれている成分です。サケの鼻の軟骨から取り出したものを、1日たった5〜16mgという少量飲むだけで効果があります。
軟骨が壊れるのを防ぎ、新しく作るのを助ける
膝に違和感のある中高年の方(平均54.5歳)を対象にした研究では、プロテオグリカンを1日10mg、16週間飲んでもらいました。
血液検査で軟骨の状態を調べたところ、以下の2つの変化が見られました。
- 軟骨が壊れる指標(C1,2C)が、飲んでいない人より明らかに減りました
- 軟骨が作られる指標(PIICP)が増える傾向が見られました
つまり、軟骨が壊れていくのを防ぎ、さらに軟骨が作られていくのを助けてくれます。
痛みの軽減
ベトナムで行われた大規模な研究では、変形性膝関節症の患者さんにプロテオグリカンを、1日10mg、24週間(約6か月)飲んでもらいました。その結果、次の2つの点で、プロテオグリカンを飲んだ人たちの方が、飲んでいない人たちより明らかに良い変化が見られました。
・24週間後に「痛みが20%以上やわらいだ」と答えた人の割合が、飲んでいない人より有意に多かったです。
・同じく、「痛みが50%以上やわらいだ」と答えた人の割合も、明らかに多かったです。
さらに、MRIでも、プロテオグリカンを飲んだグループでは、膝の骨の中に見られる腫れ(骨髄のむくみ)や、骨が固くなってしまう変化(骨の硬化)が、飲んでいない人よりも改善していることが確認されました。
効果が出るまでの期間は?
軟骨の状態改善は16週間(約4ヶ月)、痛みの改善は24週間(約6ヶ月)で差が出ます。
キャッツクローエキス
キャッツクローは、アマゾンに生える植物で、猫の爪のような形をしています。南米では昔から関節痛の薬として使われてきました。
炎症を抑える
細胞を使った実験では以下の効果が観測できました。
- TNF-α(炎症を起こす物質)を65〜85%削減
- プロスタグランジンE2(痛みの原因物質)を抑制
早い人は1週間で効果を実感できた事例もあります。ペルーで行われた研究では、膝関節症の患者さん45名にキャッツクローを1日100mg、4週間飲んでもらいました。その結果は以下のとおりです。
- 動くときの痛みが明らかに減りました
- 効果は1週間目から現れました
- お医者さんの評価でも大幅な改善が認められました
関節リウマチの患者さんでも、腫れている関節の数や痛む関節の数が、飲んでいない人より明らかに減りました。
効果が出るまでの期間
早い人は1週間、通常は2〜4週間で効果を感じます。
非変性Ⅱ型コラーゲン(UC-II)
非変性Ⅱ型コラーゲンは、鶏の軟骨から特別な方法で取り出したコラーゲンです。普通のコラーゲンとは違い、形を壊さずに取り出しています。
体が自分の軟骨を攻撃するのを防ぎます
非変性Ⅱ型コラーゲンを飲むと、腸で「これは自分の成分だ」と体が認識し、関節で軟骨を攻撃しにくくなる効果があります。
グルコサミンより効果的だった
アメリカで行われた研究では、膝関節症の患者さんを2つのグループに分けて、それぞれ接種してもらいました。
- グループ1:UC-II(非変性Ⅱ型コラーゲン)を1日40mg
- グループ2:グルコサミン1500mg+コンドロイチン1200mg
90日間飲み続けた結果は以下のとおりです。
- 膝の痛みや機能(WOMACスコア):UC-II群は33%改善、グルコサミン群は14%改善
- 痛みの強さ(VASスコア):UC-II群は40%減少、グルコサミン群は15%減少
- 日常生活の困難さ(Lequesne指数):UC-II群は20%改善、グルコサミン群は6%改善
つまり、グルコサミンよりUC-IIの方が2倍以上効果的だったのです。
効果が出るまでの期間
研究では90日(3ヶ月)で明らかな改善が見られています。3〜6ヶ月は続けることをおすすめします。
ビタミン・ミネラルの役割
ビタミンやミネラルも軟骨成分に対して効果的であることが報告されています。ここではいくつかの成分をご紹介します。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンを作るのに絶対必要な栄養素です。研究によると、ビタミンCをたくさん摂っている人ほど、MRI検査で見た軟骨の状態が良いことがわかりました。また、関節の中の酸化ストレス(サビのようなもの)を減らして、軟骨を守ります。
亜鉛
亜鉛は軟骨を作るのに必要なミネラルです。
研究によると以下の効果が確認されています。
- 亜鉛が不足すると、軟骨細胞が増えにくくなる
- 十分な亜鉛を摂ると、軟骨が硬くなるのを遅らせることができる
- 抗酸化酵素の材料にもなり、炎症から細胞を守ります
サプリを飲むときは、以下の4つの項目に気を付けてください。
- 最低3ヶ月、できれば6ヶ月以上続けましょう
- 軟骨の変化には時間がかかります。成分ごとの効果でもわかるように、しっかりした量を飲んでもすぐに治ることはありません。
- いくつかの成分を組み合わせましょう
- 作用の仕方が違う成分を一緒に摂ると効果的です。サプリを選ぶときは、様々な成分がしっかりと入っているものを選びましょう。
- 毎日決まった時間に飲みましょう
- 習慣にすることで飲み忘れを防げます。アラームをかけると効果的です。
- 生活習慣も一緒に改善しましょう
- 太もものストレッチや体重を適正に保つためにバランスの良い食事を心がけるなど、成分を取る以外の部分でできることを取り入れるのも大事なポイントです。
膝の痛みは「歳だから仕方ない」ものではありません。このガイドで紹介した成分は、すべてきちんとした研究で効果が確認されているものです。
覚えておいてほしいこと
- 痛み止めや注射は一時的な対処、大切なのは根本的なケア
- 効果の現れ方には個人差がありますが、多くの人は3〜6ヶ月で実感
- 1つの成分だけでなく、複数を組み合わせると効果的
- 生活習慣の改善と一緒に行うことで、効果が倍増
実際の研究では「痛みが半分になった」「6分間歩ける距離が20メートル以上伸びた」「階段の上り下りが楽になった」といった改善が報告されています。
サプリメントは薬ではありませんが、正しく選んで続けることで、膝の健康寿命を延ばし、活動的な毎日を取り戻すことができます。科学的根拠に基づいたインナーケアで、あなたの膝の未来を変えていきましょう。
また、いい成分を取るだけではなく、いい成分の効果を阻害する食べ物を摂取しないことや、自宅で簡単にできるケアなど、より良くするための行動をすることもとても重要です。対処療法だけでなく、根本的な改善ができるようにこれからも膝に関するコラムをお届けしてまいりますので、よろしくお願いします。
※本記事は特定の治療を推奨するものではなく、掲載している内容は監修者・執筆者の見解です。効果・実感には個人差がありますので、必要に応じて専門の医師にご相談ください。
共同開発者・理学療法士 坪井望先生が語る、"歩く力"を守る想い


この記事を書いたスタッフ
さくらの森

【執筆・監修者】
中村 幹夫(なかむら・みきお)
社会医療法人 青洲会 理事長/百年橋リハビリテーション病院 理事長
1984年 長崎大学医学部 卒業。
1994年 福岡青洲会病院 入職。
2001年 同病院長に就任、2016年より現職。
※本記事の内容は、監修者の見解に基づいており、すべての方に当てはまるものではありません。症状に応じて医師にご相談ください。
「階段を上るとき膝が痛い」
「雨の日は特につらい」
「立ち上がるときにズキッとする」
年齢を重ねると、こんな膝の悩みを抱える方が増えてきます。病院で痛み止めをもらったり、湿布を貼ったり、注射を打ったりしても、これらは一時的に痛みを抑えるだけで、根本的な解決にはなりません。
そこで注目されているのが、体の内側から膝をケアする方法です。しかし、内側からケアすると言っても、何をどのように摂取すべきか、わからないという人も多いのではないでしょうか。
今回は、膝をケアする方法を成分から解説します。成分がなぜ効くのかも解説しますので、最後までお読みください。
まずは、そもそもなぜ膝は痛くなるのかというところを抑えていきましょう。
膝の痛みを理解するために、まず膝の仕組みを簡単に説明します。なにを取ればよいのか?という点で非常に重要ですので、知っているという方も改めてご覧ください。
膝の構造とは?
膝は、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)がつながる部分です。骨と骨の間には軟骨というクッションがあります。
この軟骨は主に次の2つでできています。
- Ⅱ型コラーゲン:軟骨の骨組みとなるタンパク質
- プロテオグリカン:水分を抱え込んでクッションの役割をする成分
また、関節の中には関節液という潤滑油があり、ヒアルロン酸などが含まれていて動きをスムーズにしています。
膝が痛くなる理由
では、なぜ膝は痛くなるのでしょうか。年を重ねると、主に次の5つの変化が起きて膝が痛くなると言われています。
①軟骨がすり減る
長年使っているうちに、クッションである軟骨が薄くなります。
②骨同士がぶつかる
軟骨が減ると、骨と骨が直接こすれて痛みが出ます。
③炎症が起きる
すり減った軟骨のかけらが関節の中で炎症を起こします。
④筋力が落ちる
太ももの筋肉が弱くなると、膝への負担が増えます。
⑤体重が増える
このように、膝の悩みを抱えてしまう理由は一つではなく、複雑に絡みあっています。例えば、雨の日に痛むのは、気圧が下がって関節が膨らみ、神経を刺激するからです。寒い日は血行が悪くなって痛みが強くなります。
そのため、サプリメントを選ぶときは一つの成分を選ぶのではなく、いくつかの成分を組み合わせて摂取するのがおすすめです。
ここからは、膝の痛みに効果的な成分について、実際の研究結果とともに詳しく説明していきます。
ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン
ブラックジンジャーは、タイ原産の黒いショウガです。普通のショウガとは違い、ポリメトキシフラボンという特別な成分が含まれています。
筋力アップで歩きやすくなる
60歳以上の方を対象にした研究では、ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンを1日7.2mg、8週間飲み続けてもらいました。その結果、6分間で歩ける距離が、飲んでいない人と比べて明らかに伸びました。別の研究では、1日12mgを8週間飲んだ人は、6分間歩行距離が平均21.7メートルも伸びました。飲んでいない人は変化がありませんでした。
炎症を抑えて軟骨を守る
動物実験ですが、関節炎のモデルにブラックジンジャーを与えたところ、以下のような変化がありました。
- 痛みを感じにくくなった
- 軟骨が壊れるのを防いだ
さらに、軟骨細胞を使った実験では、ブラックジンジャーの成分がMMP(軟骨を壊す酵素)の働きを抑えることがわかりました。つまり、ブラックジンジャーの成分が軟骨が削られるのを防いでくれたのです。
内臓脂肪が減少する
肥満気味の方が1日12mgを12週間飲んだ研究では、内臓脂肪の面積が明らかに減りました。体重が減れば、膝への負担も軽くなります。
効果が出るまでの時間
筋力アップは8週間程度、炎症を抑える効果は2〜3ヶ月続けると実感できると言われています。
サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン
プロテオグリカンは、もともと私たちの軟骨に含まれている成分です。サケの鼻の軟骨から取り出したものを、1日たった5〜16mgという少量飲むだけで効果があります。
軟骨が壊れるのを防ぎ、新しく作るのを助ける
膝に違和感のある中高年の方(平均54.5歳)を対象にした研究では、プロテオグリカンを1日10mg、16週間飲んでもらいました。
血液検査で軟骨の状態を調べたところ、以下の2つの変化が見られました。
- 軟骨が壊れる指標(C1,2C)が、飲んでいない人より明らかに減りました
- 軟骨が作られる指標(PIICP)が増える傾向が見られました
つまり、軟骨が壊れていくのを防ぎ、さらに軟骨が作られていくのを助けてくれます。
痛みの軽減
ベトナムで行われた大規模な研究では、変形性膝関節症の患者さんにプロテオグリカンを、1日10mg、24週間(約6か月)飲んでもらいました。その結果、次の2つの点で、プロテオグリカンを飲んだ人たちの方が、飲んでいない人たちより明らかに良い変化が見られました。
・24週間後に「痛みが20%以上やわらいだ」と答えた人の割合が、飲んでいない人より有意に多かったです。
・同じく、「痛みが50%以上やわらいだ」と答えた人の割合も、明らかに多かったです。
さらに、MRIでも、プロテオグリカンを飲んだグループでは、膝の骨の中に見られる腫れ(骨髄のむくみ)や、骨が固くなってしまう変化(骨の硬化)が、飲んでいない人よりも改善していることが確認されました。
効果が出るまでの期間は?
軟骨の状態改善は16週間(約4ヶ月)、痛みの改善は24週間(約6ヶ月)で差が出ます。
キャッツクローエキス
キャッツクローは、アマゾンに生える植物で、猫の爪のような形をしています。南米では昔から関節痛の薬として使われてきました。
炎症を抑える
細胞を使った実験では以下の効果が観測できました。
- TNF-α(炎症を起こす物質)を65〜85%削減
- プロスタグランジンE2(痛みの原因物質)を抑制
早い人は1週間で効果を実感できた事例もあります。ペルーで行われた研究では、膝関節症の患者さん45名にキャッツクローを1日100mg、4週間飲んでもらいました。その結果は以下のとおりです。
- 動くときの痛みが明らかに減りました
- 効果は1週間目から現れました
- お医者さんの評価でも大幅な改善が認められました
関節リウマチの患者さんでも、腫れている関節の数や痛む関節の数が、飲んでいない人より明らかに減りました。
効果が出るまでの期間
早い人は1週間、通常は2〜4週間で効果を感じます。
非変性Ⅱ型コラーゲン(UC-II)
非変性Ⅱ型コラーゲンは、鶏の軟骨から特別な方法で取り出したコラーゲンです。普通のコラーゲンとは違い、形を壊さずに取り出しています。
体が自分の軟骨を攻撃するのを防ぎます
非変性Ⅱ型コラーゲンを飲むと、腸で「これは自分の成分だ」と体が認識し、関節で軟骨を攻撃しにくくなる効果があります。
グルコサミンより効果的だった
アメリカで行われた研究では、膝関節症の患者さんを2つのグループに分けて、それぞれ接種してもらいました。
- グループ1:UC-II(非変性Ⅱ型コラーゲン)を1日40mg
- グループ2:グルコサミン1500mg+コンドロイチン1200mg
90日間飲み続けた結果は以下のとおりです。
- 膝の痛みや機能(WOMACスコア):UC-II群は33%改善、グルコサミン群は14%改善
- 痛みの強さ(VASスコア):UC-II群は40%減少、グルコサミン群は15%減少
- 日常生活の困難さ(Lequesne指数):UC-II群は20%改善、グルコサミン群は6%改善
つまり、グルコサミンよりUC-IIの方が2倍以上効果的だったのです。
効果が出るまでの期間
研究では90日(3ヶ月)で明らかな改善が見られています。3〜6ヶ月は続けることをおすすめします。
ビタミン・ミネラルの役割
ビタミンやミネラルも軟骨成分に対して効果的であることが報告されています。ここではいくつかの成分をご紹介します。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンを作るのに絶対必要な栄養素です。研究によると、ビタミンCをたくさん摂っている人ほど、MRI検査で見た軟骨の状態が良いことがわかりました。また、関節の中の酸化ストレス(サビのようなもの)を減らして、軟骨を守ります。
亜鉛
亜鉛は軟骨を作るのに必要なミネラルです。
研究によると以下の効果が確認されています。
- 亜鉛が不足すると、軟骨細胞が増えにくくなる
- 十分な亜鉛を摂ると、軟骨が硬くなるのを遅らせることができる
- 抗酸化酵素の材料にもなり、炎症から細胞を守ります
サプリを飲むときは、以下の4つの項目に気を付けてください。
- 最低3ヶ月、できれば6ヶ月以上続けましょう
- 軟骨の変化には時間がかかります。成分ごとの効果でもわかるように、しっかりした量を飲んでもすぐに治ることはありません。
- いくつかの成分を組み合わせましょう
- 作用の仕方が違う成分を一緒に摂ると効果的です。サプリを選ぶときは、様々な成分がしっかりと入っているものを選びましょう。
- 毎日決まった時間に飲みましょう
- 習慣にすることで飲み忘れを防げます。アラームをかけると効果的です。
- 生活習慣も一緒に改善しましょう
- 太もものストレッチや体重を適正に保つためにバランスの良い食事を心がけるなど、成分を取る以外の部分でできることを取り入れるのも大事なポイントです。
膝の痛みは「歳だから仕方ない」ものではありません。このガイドで紹介した成分は、すべてきちんとした研究で効果が確認されているものです。
覚えておいてほしいこと
- 痛み止めや注射は一時的な対処、大切なのは根本的なケア
- 効果の現れ方には個人差がありますが、多くの人は3〜6ヶ月で実感
- 1つの成分だけでなく、複数を組み合わせると効果的
- 生活習慣の改善と一緒に行うことで、効果が倍増
実際の研究では「痛みが半分になった」「6分間歩ける距離が20メートル以上伸びた」「階段の上り下りが楽になった」といった改善が報告されています。
サプリメントは薬ではありませんが、正しく選んで続けることで、膝の健康寿命を延ばし、活動的な毎日を取り戻すことができます。科学的根拠に基づいたインナーケアで、あなたの膝の未来を変えていきましょう。
また、いい成分を取るだけではなく、いい成分の効果を阻害する食べ物を摂取しないことや、自宅で簡単にできるケアなど、より良くするための行動をすることもとても重要です。対処療法だけでなく、根本的な改善ができるようにこれからも膝に関するコラムをお届けしてまいりますので、よろしくお願いします。
※本記事は特定の治療を推奨するものではなく、掲載している内容は監修者・執筆者の見解です。効果・実感には個人差がありますので、必要に応じて専門の医師にご相談ください。
共同開発者・理学療法士 坪井望先生が語る、"歩く力"を守る想い


